夢育物語『夢育マップ』誕生秘話

『夢育マップ』誕生秘話~『夢』をただ書き出すのは難しい!?~

「あなたの夢は何ですか?」とお聞きした時に、
お父さんやお子さんは、自分のことを話されますが、
お母さんは、ご主人やお子さんのことを話されます。

「では、ご自身の夢は何ですか?」
と、お母さんにもう一度お聞きすると、
固まってしまわれます。

あなたのお母さんは、いかがですか?

このようになるお母さんは、1人や2人ではなく、
ほとんどが同じ反応と言ってもよいくらいです。

真面目な人ほど、夢が全く出てこない傾向にあります。

中には、固まったまま、みるみる顔色が悪くなったり、
ポロポロと涙を流される人もいらっしゃいます。

「今まで、そんなことを聞かれたことがなかったし、
答えられなかったこともショックです。
何故かわからないけど、涙が止まらなくて…。」

「ごめんなさい。ごめんなさい。」と
涙が収まらないお母さんを目の当たりにして、
「笑顔になれるよう、何とかしてあげたい。」
と思ったものです。

今回は、そんなお母さんたちから
「夢」を引き出すために開発した
「夢マップ」の誕生に至るお話です。

真っ白の紙に向かっても「夢」は書き出せない

私が子どもだった頃、理由もなく、
母から折檻(せっかん)をされたことがありますが、
その時の母は悲しそうな顔をしていて、
直後に「ごめんな」と泣いていました。

悩みがあったり、思うように物事が進まなかったり、
人間関係がギクシャクしていたりすると、
夢どころじゃなくなってしまい、
イライラしたり、無意識に自分をなくしたりして、
満足や幸福とは、対照的な状態になってしまいます。

謝りながら涙が止まらなくなったお母さんと
私の母の昔の面影が重なり、「なんとかしたい、
心の奥に封じ込めてしまった『夢』や『希望』に
どうすれば、もう一度アクセスしてもらえるだろう」
それから、様々なことを試しました。

まずは、しつこく聞き出すことから始めましたが、
かなりの時間をかけて聞き倒したところで、
夢は出てきませんでした。

打ち合わせ時間のすべてを使いましたが、
時間切れになったため、
「次回までに、何でもよいから書いて下さい」
と、白い紙を1枚渡して、宿題にしました。

次の打ち合わせに来られると、
「真っ白な紙に向かっていても、
かしこまる感じがあって書きにくいです」
と、結局書けないままでした。

そこで、また、夢についてお聞きすることにしましたが、
お話の中に、夢に関連しそうなキーワードが
出てきましたので、白紙にキーワードだけを記入し、
「何でもよいから書いてみてください」と
また、次回までの宿題にしました。

ところが、やはり「書けない」という結果でした。

中には、白紙に定規できっちり線を引いて、
取り組まれた人もいらっしゃいましたが、
やはり、結果は同じで「何も書けない」でした。

「ふせん」になら、気軽に思いを書くことができる

「夢を引きだす良い方法はないだろうか?」と悩んでいると、
たまたまそこにあり、私の目に入ってきたのが
「ふせん」でした。

小さな「ふせん」1枚1枚に書き込んで、
その「ふせん」を白い紙に貼り付ければよいのでは、
とアイデアが浮かびました。

「ふせん」なら、手っ取り早いというか、
すぐ剥がせる感覚があり、
始めるにあたりハードルが低くなります。

そこで、今度は「ふせん」と白い紙を渡して、
次回までの宿題にしました。

すると、翌週の打ち合わせには、
何枚か書いた「ふせん」を持って来られました。

ところが、白い紙の方は出し渋られていたため、
聞いてみると、「白い紙にふせんは貼りにくい」
とのことで、貼り付けができていない状態でした。

そこで、白い紙の真ん中に「夢」と書いてみましたが、
「夢」だと大げさに捉えられるのかな、
「要望」くらいのスケール感でよいのでは、
と考え、「夢」の他に「要望」と書いて、
そこに「ふせん」を貼り付けていただきました。

「夢」じゃなくでも、心の内を「ふせん」に書き出すことが大切

別のお母さんのケースですが、
「あなたの夢は何ですか?」と聞くと、
「夢はないけど、愚痴ならいくらでもあります」
と、止まらないほどの言葉が出てきました。

「旦那には腹の立つことばかり、娘は言うこと聞かない」
という内容でしたので、
「それをどうしたいのですか?」と聞いてみると、
何も答えられなくなってしまいました。

現状に対する不満は多いのですが、
そこで思考が停止してしまうのです。

「夢」「要望」に加え、「不満」とそれに対する「改善」
この4つの言葉を白紙に書き込み、
大きく十字の線を入れました。

これで「夢マップ」の原型が出来上がりました。

先ほどの、不満がいっぱいのお母さんのケースでは、
愚痴をひとつずつふせんに書き込み、
白紙の「不満」のエリアに、
どんどん貼り付けていくことができます。

「これなら、書けます」と安心されました。

「『夢』を深堀りするはずなのに
『不満』ばかり出してよいのですか?」
という声が聞こえてきそうですが、
答えは「よい」のです。

「不満」を掘り出していけば、そのうち「夢」へと
たどり着くことができますから。

こうして、様々な試行錯誤を繰り返して
出来上がったのが「夢マップ」です。