「お母ちゃんのカレーを食べに来た」
そう言われるほど、母のカレーは昔から特別でした。
北は北海道から南は沖縄まで、日本全国、海外からも訪れるお客様に母は笑顔で「おかわりどうぞ」「しっかり食べや!」と声をかけ、大きな鍋からよそい続けていました。
まるで我が子のように、誰にでも分け隔てなく振る舞う母の姿に、多くの人が、「お母ちゃん ただいま!」と我が家に帰ってきたような気持ちになって心を癒されていったことでしょう。
これまでに母のカレーを食べた方は1000人を優に超えていると思います。
国産のお肉やこだわりの野菜、そして何より、母の愛情が特別な味を作り出していました。
大きな鍋を前に、母はいつも「おいしくなーれ」「食べた人が元気になーれ」と何十回も唱えながら、まるでお経のように祈りを込めて作っていたのです。
その姿勢は、料理人としてではなく、来て下さった人のまるで母親として、人々の幸せを願う気持ちそのものでした。
でも、78歳になった母は、体の衰えとともに料理をすることが億劫になってきました。
階段から転落や、度重なる転倒により、足腰がすっかり悪くなり、体調も思うように整わなくなりました。
昔のようには台所に立つ時間が減り、カレーを作ることも少なくなったのです。
そんな母が、昨日は久しぶりに「カレーを作る」と言いました。
「ちっちゃいお鍋を持って、二人分取りにおいで」と。
母の家に着くと、業務用のような大きな鍋でカレーがコトコトと美味しそうな音を立てて煮えていましたが・・・、台所は水浸し。
お茶がこぼれ、様々なものが散乱していました。
料理をしながら、きっと手が思うように動かず、足元もおぼつかなかったのでしょう。
それでも食べさせたい人がいることで「作りたい」という気持ちが母を動かしていたのだと思います。
その様子を見て、ふと考えました。
「大切な味」は、いつまでも続くわけではないのかもしれないと・・・。
“今”を大切にすることの意味
母がどんなに大変でも、「作ってあげたい」と思い、時間をかけて仕上げたカレー。
母の料理の腕前や高級な食材だけではなく
「今、この瞬間の母のカレー」だからこそ、最高の味なのだと気づきました。
そして、これは何も「カレー」だけの話ではなく、
「大切な味」とは、家族の思い出かもしれないし、誰かが作ってくれた料理のぬくもりかもしれません。
それは、当たり前のように存在していたものが、ある日突然、なくなってしまうものでもあるのです。
「食べられるうちに、味わっておく」
「会えるうちに、会っておく」
「できるうちに、やっておく」
何かを失って初めて、その価値に気づくことが多いものです。
だからこそ、今目の前にあるものを、もっと大切にしたいと思いました。
あなたの「大切な味」は何ですか?
私にとって、それは母のカレーでした。
では、あなたにとっては?
「この人の作る〇〇が好き」
「このお店の〇〇が忘れられない」
「この時間が大切だな」
そんなふうに思うものがあるなら、
ぜひ付箋に書いて「夢育マップ」に書き込んでみてください。
大切な味、思い出、時間、人。
それを言葉にすることで、「今、何を大切にしたいのか」がはっきりしてくるかもしれません。
人生は有限だからこそ、今をどう味わうかが大切ですね。
あなたの「大切な味」、今日、改めて味わってみませんか?
追伸:母のカレーは、やはり世界一
とってもとっても美味しかったです。
最後まで読んでくださりありがとうございました。
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