「人見知りの私が、まさか自宅で英会話教室を開くなんて…!」
ご自身でもその変化に驚かれているお話です。
給湯器が古くなったのをきっかけに、
「終の棲家(すみか)」として、
安心して一生を送るために、家じゅうを全て一新したい、
と、ご相談に来られたお客様がいらっしゃいました。
このお客様は、もうすぐ定年を迎えられる
独身で一人暮らしの女性でした。
現状よりもお家の状態をより良く整えたり、
使い勝手をよくすることは大切ですが、
それだけが目的のリノベーション工事では、
すごくもったいないということを、
このお客様から学ばせていただきました。
ご相談に来られた時、
どのようにリノベーションされたいですか、
と、詳しく伺っていきましたが、
「人見知りをするので、
家に誰かを招くことはありません。」
と断言されていました。
ところが、リノベーション後は、
お友達が遊びに来られたり、
ご自宅で英会話教室を開かれたり、
しょっちゅう人が集まる空間になっています。
お客様ご自身も、リノベーション前は、
髪型や服装にあまり気を遣われていないという印象でしたが、
リノベーション後にお会いすると、
お化粧が上手になり、明るい色の洋服を選ばれていて、
見違えるほど、印象が変わっていました。
このお客様は、どんな魔法をかけられたと思われますか?
お家のリノベーションをきっかけに、
ご自身の人生のリノベーションをされた
お客様の物語をお話させていただきます。
モノがいっぱい山積み、埋め尽くされた部屋
お客様は2DKのマンションに住まわれていて、
6畳の和室が2部屋とダイニングキッチンがありました。
現地調査のため、お客様のお宅を訪ねると、
モノがいっぱい山積みにされていて、
荷物や書類をかき分けながら、
家の奥へと進んでいく状態でした。
ダイニングテーブルの上に電子レンジが置かれ、
食材やパンが出しっぱなしで、
食事のためのほんのわずかなスペース以外は、
モノに埋もれている状態でした。
後から片付けようと思って、一時的に置いたものが、
どんどん増えて重なっていったのではないかと
想像できました。
そんな中でも、
きれいに飾っている場所は一部ありましたが、
ほとんどがモノで埋め尽くされ、
部屋の用途が考えられていない状態でした。
そこで、まずは収納計画を立てて、モノと向き合うこと、
ダイニングキッチンを快適にして食を整えること、
などについて、ご提案をさせていただきました。
その後、
部屋で何をしたいか、どのような部屋にしたいのか、
部屋ごとの用途やイメージを明確にしていただき、
プランニングをさせていただきました。
仮住まいへの引っ越しと断捨離
リノベーション工事の第一段階として、
まずは、家じゅうを埋め尽くすほどのモノと
向き合っていただきました。
いわゆる断捨離です。
今回は全面リノベーションを行うため、
一時、仮住まいで暮らしていただきました。
仮住まいへの引っ越しを機会に、
本当に要るものなのか、処分してよいものなのか、
見極めていただきました。
持っていくモノが多くなると、
引っ越し費用も多くかかってきますので、
思い切りがよくなるという効果もあり、
トラック1台分、モノを処分することになり、
お手持ちの荷物を半分まで減らすことができました。
仮住まいへの引っ越しと同時に断捨離を行い、
リノベーションへと一気に思い切って進めると、
大々的にリセットできるのでは、と思います。
リノベーション後の新生活は、
以前とは全く違う気分で始められますから。
ドレッサーとカーテンでレディのお部屋に変身
和室の2部屋のうち、1部屋は洋室にして、
フローリングを張りました。
洋室からダイニングキッチンまで
フローリングで繋がりを持たせることで、
広さを感じられるよう工夫しました。
この洋室は、プライベートルームにして
ドレッサーを置き、カーテンをお姫様の部屋
のように仕立て、レディ仕様で仕上げました。
ドレッサーを置き、化粧品を揃えると、
その場所を使おうとする気持ちが働き、
お化粧をしたり、髪を整えたりするようになります。
以前、髪型や服装に気を遣われなかったのは、
自分を映し出す鏡がなかったり、
自分を整える場所がなかったためです。
お客様が劇的に変わられたのは、
そのような環境を作り、環境を使うことで、
自然な形で、ご自身を表現する楽しさを
身につけられたことによるものと思われます。
もう1部屋の和室は、そのまま和室として
使うことにしましたが、ヘリのない畳を敷いて、
広く見えるようにしました。
プライベートルームに対して、
畳の和室は多目的に使えるようにしました。
現在は、ここで英会話教室を開催されています。
ご自身のレベルアップのために
英会話教室に通っていることをお聞きしていましたが、
ご自身で英会話教室を開催されるようになることは、
想定外でした。
鏡が多いお家は美意識が高く、美男美女が多い
リノベーション前の現地調査で、
お客様のお宅に伺って、すぐ、
大きな鏡がないことに気づきました。
洗面化粧台の鏡はありましたが、他は、
トイレに小さな鏡が取り付けられているだけでした。
大きな鏡を置いておくと、
嫌でも自分の姿が目に入るようになり、
自然にセルフチェックをするようになります。
洗面脱衣室に全身が映る鏡を置いておくと、
服を脱いだ自分のありのままの姿が、
そこに映し出されます。
そこで体型チェックもできるため、
「食べ過ぎたかな?」など、
ある程度、健康管理にも役立ちます。
鏡の多いお家は美男美女が多いと言われるのも、
あながち間違ってはいないと言えますね。
今回のリフォームでは、思い切って、
大きな鏡を設置することにしました。
大きな鏡も、お客様の環境を整えるための
仕掛けのひとつです。
暮らしを心から楽しんでいらっしゃるので、
お家もご自身のこともどんどんきれいにしよう、
と前向きなパワーを発揮されています。
環境でセルフイメージも一気に上がり、
実際に、健康的になり美しくなられました。
環境の力の大きさを感じることになった、
お客様のケースを今回はお届けしました。
今回のような実際のプランニングや
その前後の変化など、
また、次回以降もお伝えしていきますので、
楽しみにしていただけると嬉しいです。
暮らし株式会社
住宅設計プランナーの片山友見でした。